釜ヶ崎労働センター占拠闘争のために


NEZUMI
釜ヶ崎のあいりん総合センターが耐震対策を理由に取り壊されようとしている。これに対して閉鎖予定日の331日、座り込みによる抵抗が開始され、42日現在、闘いはセンター占拠闘争として展開・維持されている。この闘いはあらゆる力をもって支えられなければならない。センター問題は「HAPAX」8号において小説のかたちで報告されているので(「巨椋沼における3つの議論」)、いまこそこれを参照していただきたい。センターの建て替えをめぐってそれまでの釜ヶ崎の運動は二分された。これを受容するものは釜ヶ崎の観光資源化と市民化を選択し、これに反対するものは資本主義と大阪行政権力を拒否することを鮮明にした。前者はただ体制派に転向したわけではなく、その一部は政治闘争では左派として登場しさえしている。90年代以降の左派のNPO化の行きつく果てがこの事態なのだ。したがってこの闘争は左派の頽落への総括でもある。今回、この攻勢が地震対策を名目になされていることは重要である。同じような攻撃にさらされている吉田寮においてもその名目は老朽化である。3・11以降、近年の一連の厄災に対して行政は全く何ものもなしえなかった。にもかかわらず「安全」の保障として権力は形成される。これは『ドローンの哲学』がしめすような国家と「国民」の関係の変容、すなわち統治の新たな(より残虐な)軍事化と並行しているのだ。これがアントロポセン的状況に対する統治からの対応であることはあきらかである。センター改築推進派は本人たちのリベラルな心情とは逆に積極的にこれを補完している。これに対してセンターを壊させない闘いは古きよき釜を守護するものではない。この現在において下層からコミュニズムをつくりだす闘いであり、アントロポセン的事態を人民のものと化していくための闘いでもある。

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