アントロポセン
R.I.P
3・11とはかつてない断片化であった。科学と妄想の境界が、人間と自然の境界が消え失せ、国家はその統治をとうに終わらせていたことをあきらかにした。死者たち、そして難民化された人びとが生まれ、領土の一部が失われた。さまざまな関係はそれまでのように継続されることはなくあらゆる層で分裂がおこった。3・11がある革命をもたらしたとすれば、それは反原発運動が空前の規模に拡大したことにあるのではない。この断片化にこそあるのだ。このブログの「流言は既に革命の到来を告げている」はこの断片化のドキュメントとして読まれることを要請している。
われわれの政治はこの断片化をひきうけ、その動揺と分裂のなかにとどまり続けることからはじまらなくてはならない。この断片だけが「砂漠の正義」をもたらすのである。ひるがえっていうなら現在のさまざまなファシズムはこの断片化への反動である。熱狂的というより過剰防衛的な右翼化、統治のための反原発運動、移住運動の一部、資本に加担する新左翼運動、これらはすべて断片化への反動であるといまなら言える。
アントロポセンが人間の地球への介入だとしたら3・11はアントロポセンそのものであり、したがってアントロポセンを問い返すものでもある。カルプにならって「世界の死」によってアントロポセンを終わらせること。3・11の断片化はその開始である。